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2024/03/19

やさしい恐怖を




『死と彼女とぼく』 /川口まどか『死と彼女とぼく』




『死と彼女とぼく』1〜10 / 川口まどか






死者と死者が見える能力をもった「ゆかり」、
死者の声がきこえる「優作」が織り成す刹那ホラー。


これはもー絶品。



インパクト重視の、
ゾンゲロヌバーギャヒーホラーとは一線も2線も画す
センチメンタル叙情詩ホラー。


死者が見えるといった、シックスセンスを持ってしまったが故の、
マイノリティの悲哀と、それを理解できる同じ状況にある者同士の情、
それを理解できないが、なんとか力になろうとする家族の情、


他と違う事と前向きに向き合う、ゆかりと優作の葛藤 に
おどろおどろしいだけではない死者と死者ワールドが絡んで、
もー胸キュン全開、超特急。




成仏させるのに、呪文を唱えるでも、技を繰り出すわけでもなく
対話でしか、死者とは向き合えない非力な2人が、


「正義感にかられ片っ端から成仏させたるわいっ!」


と自らトラブルに突っ込んで行く。といった話ではナイ! 
ところがもうスマート!




全編通して、伝わるのは「静」のイメージ。
ヘヴィー級にやっかいな悪者が出てきても、
ポップなハッチャケストーリーでも、
「ゆかり」の人柄が支配するような「凪」が心地よいです。




そして、やさしいゆかりを守ろうとする
優作の格好よさに胸キュンキュンvv



もうっ、もうっ、素敵ダゼっ!優作ーっvv




やさしいダケの男じゃないぜ!結構冷たいトコがああんっ///






タイトな絵とジャンルゆえかあまりメジャーではないけど
この作家の作品は面白い!





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2005/11/16 漫画タイトル さ行 Trackback() Comment(0)

アン・ドゥ・トゥロア! I can do it now〜♪




『SWAN 白鳥の祈り』 /有吉 京子『Swan』





『Swan-白鳥の祈り』 /有吉 京子 秋田文庫 1〜14




コーレーはもうっ!
バレエ漫画の歴史に残る、
頂点の作品にして、求道モノのお手本!
バレエ作品の到達点なので、
悲しいかなこれからも本作を超える作品はない、傑作中の傑作。




主人公の少女が、バレエを始め、
お約束の引き上げてくれる鬼教官(モチロン美形)に出会い、
待っていてくれるライバルに向かって突っ走る
王道中の王道なスポ根ドラマ。


バレエを通じて、魂の研鑽、人生、選択、を
ドロッっとた〜〜っぷり表現。




バレエの技術はもちろん、恋愛面、環境面、精神面での
紆余曲折、七転八倒、七転び八起き、二転三転と
極端なアップダウンを繰り返す心臓破りの丘構成で
ホント、完璧としかいえないような終わりまで猪突猛進、全力疾走!


さーらーに、この作品のクオリティを高めてるのが




        「絵」!!





華美で、繊細、秀麗な絵!!


もーバレエの雰囲気と、踊りのリズム、あまつさえ曲まで聞こえるような!
舞台の空間を切り取ったかのような!




        「絵」!




コレにつきますワイ!


だって、瀕死の白鳥が見えるものっ!
黒鳥、オディールの回転の風を感じるものっ!
チュチュが揺れてるものっ!



自分の欲しいモノのトップを目指す人間の覚悟と払う代償、
それを犠牲と思わないトコが「才能」なんだとマザマザと思うね。


畳み掛ける、艱難辛苦の連続に、万難を排して到達しようとする
登場人物の姿勢に涙、感動、万歳の嵐!


我が身を省みて、ふんどしの紐を締めなおせる硬派で華麗な1作!






マジで、読むべし!




2005/11/14 漫画タイトル さ行 Trackback() Comment(2)

ハイカラ青春群像



『CIPHER』
サイファ 1〜12 /成田美名子





CHIPHER サイファ /成田美名子サイファ





N・Yを舞台にしたハイスコー・青春群像。




いささか歪んだ感のある美人双子兄弟・サイファとシヴァに
猪突猛進、活発少女アニスが「友達になろう!」と
挑戦!した事から始まり、


サイファとシヴァの関係性や、
アニスの背景、周りの反応なんかも含めて、
思春期ならではの恋や友情、
ちょっとモノが見え初めてきた年頃ならではの理解と反発、
少しずつ、ちょっとずつ、大人になっていく
定番っちゃー定番な、青春白書。




んまー、舞台がニューヨークってな事からもわかるように、
こーれーでーもーかっ!てなぐらいトレンド・オサレっぷりが!
シチュエーションやら、生活ぶりから、インテリア、服はモチロン!
なんかもー、全部がオッサレ!まさにハイカラ!


思春期にコンナもん読んだ日にゃーアンタ、憧れるっつーの!
とどめに登場人物は皆、美形でスタイル抜群って・・・
そりゃ、イチコロ!K・Oですワ!
自分が農耕民族だって事も忘れて、トリッピン to ドリーミンですわ!




ルックスの派手さだけでなく、誰にでもある様な心を引っ掻く演出、
心情面の吐露がけっこうセンチにできてるんで、
今でも、タイムリー世代のバイブルみたくなってる名作。


(「エデンの東」を下敷きに展開されてるけど、
そんなの知らなくたって十分、楽しめる。)





コレに触発されて、趣味嗜好が影響されて
アメリカンになった人は多分ケッコーいるね。


というか、この作者のハマッてるテンションが高いので
作品から磁場が出て伝播率が上がってるし。
なんか、ものすごく「好き」パワーが伝わんのよ、この作家の作品。


そして、シヴァ派とサイファ派で結構揉める!
これは避けては通れない!





白髭は断然!シヴァ派!!モチロンさぁっ!




2005/11/09 漫画タイトル さ行 Trackback() Comment(2)

取り戻せ、乙女心!



秋です、秋真っ盛り!
クリスマス商戦もおっ始まり、懐も冷え込みが増してきた中、
女心の不在をひんぱんに指摘され、なんだか不愉快な白髭です。
レディ検定準1級の白髭としては、非常に不本意です。




現代日本に蔓延る「女の幸せ教」と「恋愛教」に入信してないだけで、
受ける説教の数たるやちょっとしたモンですよ。




そこで、あったはずの、なけなしの乙女心を呼び起こしてみようと
少女漫画強化月間に突入!




『ざ・ちぇんじ!』 / 山内 直実 (著) 氷室 冴子(原作)




ざ・ちぇんじ! /山内 直実 (著) 氷室 冴子(原作)ざ・ちぇんじ!





平安貴族のお話。


姫はものすごく元気で丈夫、喧嘩も強く、外を駆けずり回り野性的。
一方、弟は病弱で、ノイロー気味の母親が祈祷師に
「姫として育てたら長生きできる」
と言われそのまま実行したもんだから、
美貌の姫として育てられ屋敷からもめったに外に出ないという、


まぁ見目麗しい兄弟が(母違い)いて、
図らずも、そのまま宮中入りしてしまい、バレたらもちろん
帝を謀った事になるわけで、お家断絶!重罪人!キャー大変!
どうするっ?!どうなるっ?!


あぁ〜ン☆ドキDoKi☆


というタイトル通りチェンジするのがポイントな入れ替わりストーリー。




主に、宮中内でのラヴ関係の惚れたハレタが中心で、
ポップに展開していくんですが、


いやぁ、平安時代の背景がうまぁくキチっと折込まれてて、
ちゃんとしてんですよ、結構ってか、かなり。
宮廷政治の陰湿さや、帝の権力の豪腕ぶりもにおわしつつ、
恋文に読まれる唄の読み解き方、小道具の使用方法をさりげなぁくまぶして、
用語はモチロン、平安ワールドをピシッと表現。


古典入門に持って来いの1品。


どっちも綺羅(きら)という名前なんだけど、
なんといっても、元気な方の男の振りして、
どこぞの姫と結婚までしてしまった、
(どーやって、アレコレナニをDoーするの?!とか思うでしょ。)


綺羅サマの竹を割ったようなゴーカイな性格が魅力的。




2005/11/07 漫画タイトル さ行 Trackback() Comment(0)

奈落の底の底



ここまで、暗く重い話もないんではなかろーか っつーぐらいの
ヘヴィー級の神経衰弱ストーリー。




『残酷な神が支配する』1〜17 /萩尾 望都




もう、タイトルから、てるものっ!


長編ストーリーにも関わらずそのほとんどが闇また闇の
コールタールの沼をはいずるような展開。
希望?何じゃそれ?ってなもんよ。


少女のような、夢見る夢子チャンな母親サンドラを持つ主人公ジェルミ
母親の再婚をきっかけに始まった義父による性的虐待。




幸せ真っ只中の母親のドリーミン生活を維持するべく、
虐待に耐えようと少しずつ自分を切り崩していくが・・・・


「母親の愛情」を信じて、かろうじて正気を保っていたジェルミの精神が
「母親の愛情」によって壊されていく様はもう・・・・
漫画という萩尾 望都メディアでしか表現できない程の凄まじさ。
凄惨の一言!




愛情、憎悪、欲情、孤独、闇、憐憫、と人間が抱える
理性じゃどうにもならない部分との対峙を否応なく迫られる。




個人の抱える「弱さ」ゆえの悲劇が展開されていて、
その弱さが決して他人事ではなく、全ての人が抱える「弱さ」であるため、
読み続けるのが本当に重いし辛い。おおうっ!っすわ。


絶望の闇の中を這いずり回るジェルミをどん底に突き落としたのも人間なら、
そこから救おうと、共に堕ちる事も辞さない程愛情を傾けるのもまた、人間。


「生活」を維持するために、捧げられた生贄となってしまった虐待被害者の
再生の難しさが重い。ただひたすら重い。


ジェルミが少年な為、少年愛とか同性愛部分が取り上げられがちだが、
そういうマイノリティー表現だから成り立ってる部分もある。ってか大。
っつーか、これジェルミが女なら(妊娠だのが絡んでくるし)
違う話になって目も当てられない。多分、グロくてマジ吐きだ。


萩尾望都ワールド炸裂の心理描写が見事な名作。
タイトルといい、内容といい、他に類をみないとは、まさにこの事!!


どーすんだ?!この話、終われるのか?!ってかどーなるのっ?!
と思うような真っ暗な中、話が終了したんで、ほんと良かった。


残酷な神が支配する /萩尾望都残酷な神が支配する








2005/10/19 漫画タイトル さ行 Trackback() Comment(4)

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