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何だかアンニュイな思春期真っ只中に読んで、
かーなーり喰らってしまった
『さくらの唄』1〜3 /安達 哲
・・・・・・はぁ、なんか悪意、ではないけど、悪感情がダイレクトに伝わる、
ダウナー系の湿った一作。
その湿り気ぶりたるや、涙から精液、体液、血液、リンパ液、とまぁ
もー体と感情を絞って出る、ありとあらゆる汁を煮詰めた濃さ。
正直、やや凹みな時に読んだら、さらわれたね。3日オチたよ。ドップンと。
高校時代っつー、青臭い時代の教室でのあれやこれやと、
子供という状況じゃどうにもできない、家庭環境のあれやこれや、
恋心と性欲のコントロールができないあれやこれや、
に、大人世界の金の力やら権力やらエゴやらその他イリーガルな世界の
ダーティー技を炸裂させた「この世は生き地獄」な内容。
もー設定からして、爽やかな要素のかけらもないけど、
不思議な事にホンワカな瞬間もあって、そこがまた、発火装置っつーか。
増進装置っつーかね。エグみを増しますわい。
激しい性的描写ゆえにそこが先行して話題にされがちだが、
この作者の凄いトコロは徹底した「偶像的女性像」の廃止にある。
この「さくらの唄」だけでなく、他作品にも共通なトコだけど、
(「幸せのひこうき雲」とかもエログロ闇まんてんだし。)
「聖女性」と「娼婦性」の2極どっちかでしか表現されない、
すべてのメディアにおける「女性」の表現が、
(残念な事に宮崎駿も手塚治虫もそーなんだよね。天才なのに。)
この人作品では皆無。恐ろしいぐらいなまでにリアルな女。
かなりキツめに描かれているとはいえ、一番現実に即した「女像」
これは全く凄い事だと思うね。
シビアすぎな気もするが、かなり稀有な才能。
シビアっつーのは女性像だけじゃなく、全部がそーなので
これでもかっ!!つー薄暗ぁい、ダークサイドな話が存分に楽しめます。
最後までね、救いがないのがね・・・・
投げっぱなしジャーマンかよっ!ちょっとはさぁ、・・・ねぇっ!
有害図書の名を受けて、危うく発禁になりかけた
今はもう絶版の名作をどーぞ!!
さくらの唄
2005/10/14 漫画タイトル さ行 Trackback() Comment(0)
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